ちょっと補足:「お金がいらない」わけではないよね


下のエントリではタイトルにある「お金がいらない」について触れてなかったなと気付いた。


簡単に言えば、サラリーマンなんかはキャッシュフローを生み出すのは自分の頭か体であり、資本はいらない。ここでいう資本とは例えば工場とかを考えていただければ。なので、サラリーマンのバランスシートは、資産の部分はほとんどないし、負債・資本の部分も同じく小さいってことになる。この意味では確かにお金はいらないし、下手にリスクを抱える(借金したり株に手を出したり過剰な生命保険に入ったりといった)行為はやらないほうがいい。


でも自営業とかやってる人は違う。普通は会社名義になってるので単純にはいえないけど、例えば自分が社長で会社の借金の担保に自宅を入れたりすれば、それは立派に自分のバランスシートに負債が乗っかってくるってことになるわけだ。でも事業を拡大するにはたいてい資本が必要なので、その意味で彼らがレバレッジを積極的にとることも合理的ではある。


一方、サラリーマンが借金して持ち家を買うという行為はどのような意味を持つか?これはキャッシュフローにはまったく影響を与えないわけですよ。家を買うことで給料が増えるのであればそれはキャッシュフローを増やすための投資と言うことも出来るが、そんなことはない。車にしてもしかり。つまり借金して家を買うっていう行為は、キャッシュフローを生まない資産と負債をわざわざ抱え込んでバランスシートを膨らませることとイコールだ。しかも借金を返さないといけないというリスクまで抱え込んでしまう*1


というわけで、「お金がいらない」というのは自分の体と頭だけで稼ぐことを前提にした場合、という留保条件がつくということでよろしく。

*1:ただゴリゴリのファイナンス的に言えば、モディリアーニ・ミラー理論でいうところの自己資本と負債のバランスは企業価値に影響を与えないとも考えられるが普通は自己資本比率を高めたほうがリスクは小さいよ、と。