ETCの普及率を見て驚いた

ETCで料金所の渋滞はなくなった

asahi.com:首都高のETC利用率70%に - ビジネス


首都高のデータではあるけど、70%ってすごいなあ。


ずいぶん前にETCがどの程度普及すれば渋滞が解消されるのかを調べたことがあったんだが、そのときは、シミュレーション上では40%強の普及率が達成されれば渋滞は解消するんじゃないかと言われていた("サグで発生する15km程度の渋滞が、走行支援システムの普及率40%で解消されるという試算もある" スマートウェイの実現へ向けて 国土交通省道路局ITSホームページより)。


このシミュレーションが正しいとすればもう首都高の渋滞はなくなってるんじゃないかと思うんだが、「首都高渋滞対策アクションプログラム(今月のスイスイ首都高)/首都高速道路株式会社」を見ると、解消されているのは料金所付近の渋滞だけで、渋滞全体でみるとETCが導入された平成13年からほとんど減ってない。そもそも、料金所付近での渋滞は、高速道路での渋滞全体の3割程度を占めるに過ぎないらしく、大金をかけたわりには意味がないような。


http://www.nilim.go.jp/japanese/its/2reserch/1field/1etc/img/img06.gif


とはいえ、料金所付近の渋滞はほぼ解消されたらしいし、料金所以外の渋滞はETCではどうしようもないらしいので、新たにETCをつける必要はないよね。と思ったら、こんな記事が。

ETC義務化?


NIKKEI NET:クルマ "首都・阪神高速、ETC義務化を本格検討・2008年度メド"

国土交通省首都高速道路阪神高速道路の通行車両に2008年度から自動料金収受システム(ETC)の利用を義務づける方向で本格的な検討に入った。昨年10月の民営化を受け経営効率化へ料金徴収コストを大幅に減らすのが狙い。未搭載車は利用できなくなるため、道路運営2社と近く協議会を設け、対策づくりを始める。利用料の引き下げや簡易型ETCの導入が焦点となる。

 両高速道路での料金支払いは、いまは現金とETCのどちらでも可能だ。ETCを義務づけると、すべての入り口がETC専用となり、未搭載車は通行できなくなる。


NIKKEI NET:"首都・阪神高速、08年度からのETC義務づけ表明"

 首都・阪神両高速道路会社は2008年度からの自動料金収受システム(ETC)の利用義務づけに向け、具体策の検討に入った。14日の決算発表の記者会見で、利用促進策やプリペイド式など新しい方式の検討を急ぐ方針をそれぞれ表明した。両社とも05年度のETC利用率は計画を大幅に下回っており、利用率をどこまで引き上げられるかがETC義務化のカギを握りそうだ。

 両社は08年度から現行の単一料金を距離に応じた料金体系に切り替える。距離別料金では利用した区間を把握する必要があるが、両高速には出口料金所がほとんどなく、ETCの利用を義務づけたうえで、出口のETC読み取り機で料金を徴収することにした。

 両高速道路が同日発表した3月末のETC利用率は、首都高速が80%の見通しに対し65.7%。阪神高速は68.3%の見通しに対して 57.1%だった。会見した首都高の佐々木克己専務は「現行方式では利用率はほぼピークで、(義務化に向け)新しい発想が必要だ」と強調した。


工エエェェ(´д`)ェェエエ工


つか義務化って。ETC車載機はまだまだ高いし、そもそもの目的である料金所の渋滞は解消されてるんだからそれでいいじゃん。


そもそものETCの導入目的は「ETC導入の目的と効果」を見ると、

  1. 利用者の利便性向上
  2. 料金所渋滞の緩和
  3. 料金所周辺の大気汚染や騒音などの環境改善
  4. 乗り継ぎ料金など、今後の多様な料金制度を支援
  5. 地域を活性化させるスマートIC

らしいんだが、この首都高とかでの義務化ってようは道路公団側のコストダウンとかの話であって、利用者の利便性向上には激しく反するような気がするんだが。

ETCのそもそもの規格がおかしいんだよな

日本のETCは双方向通信を行うアクティブ規格を採用しているんだが、このアクティブ方式だと通過時点でセンター側との通信が行われるため(だったと思うけど違うかも)、例えば割引料金を設定したり、個別の車ごとに異なったデータを送ったり出来るという特徴がある。まあそのかわり通信手順はややこしくなるので、データの転送ミスとかなんやかんやが起きやすくなる。隣のレーンのデータが間違って送信されたりといったエラーも起きやすい(そのせいで導入当初のETCゲートは電波の吸収材が貼り付けられたりしてるのがあったような記憶があるが、今はどうなってるんだろう)。


でも首都高って基本的に一律料金なわけで、細かいデータ通信とかって別に必要ない。実際、海外の都市部に導入されてるETCは片道通信のパッシブ方式のほうが主流だ。パッシブ方式の場合はプリペイドが前提になるはず。ニューヨークの橋とかを通る際の料金徴収に使われているETCもパッシブ方式だったはず。料金が一律で、しかも一回当たりの料金が安い場合はこのパッシブ方式でやったほうが断然安上がりだ。日本のETCは車載機がだいたい1万円くらいするはずだが、このパッシブ方式のタグはすげえ安かったと思う。つかタダ同然だったような。


首都高なんかもはなからこの手のパッシブ方式にしてくれてりゃあ義務化ってのも理解できるんだが、アクティブ方式ごり押しして高い端末仕様にして、普及率がいまひとつ伸びないからっていきなり義務化ってのはどうなのよ。あとまああんまり言うとアレだが、結局は警察庁のDSRCへの執着がアクティブ方式の採用というアホな規格採用のそもそもの原因だと思うんだが、まあそれはごにょごにょ。


で、上の日経の記事にある「簡易型ETC」ってのはおそらくこのパッシブ方式のプリペイドのことなんだろうなと想像。もしそうだとするとよく警察庁が折れたなあ。でもパッシブ方式は細かい料金設定とかは苦手なはず。夜間割引程度ならなんとかなるのかもしれないけど、利用距離に応じた料金設定とかってほんとに出来るんだろうか?ロードプライシングとかって話も出てた記憶があるけど、パッシブとアクティブの並立状態になると混乱しそうだなあ。


ま、僕は車に乗らないから関係ないんですけどね。