ドミトリーともきんす
「科学者の書いたエッセイ」が好きだ。といっても読んだのは寺田寅彦と湯川秀樹と朝永振一郎とファインマンさんくらいなもので、あとは夏目漱石の小説に出てくる理系の人たちを好ましく眺めてる程度。最近はあんまりこの手のエッセイ集って出てないよね? 森毅さんあたりが最後なイメージでいるんだが、出てたりするんだろうか?
このマンガはど真ん中ストライクだった。牧野富太郎イケメンだなーとか、湯川秀樹の京都弁はなごむねえとか、きん子ちゃんかわいいなとか楽しく読んだ。
SFをマンガで表現するのは伝統もあるし表現手法もある程度確立されたものがあると思うんだけど、「科学」をきちんとマンガで表現するってそうとう大変だとおもうんだが、高野文子はさらっとやってのけるからすごい。
優れた観察力をもった漫画家が街路や電車の中で十人十色の世相を見る時には、複雑な箇体が分析されて、その中のある型の普遍的要素が自ずから見出される。そしてその要素だけを抽象し、それを主として表現するために最も有効な手段を選ぶのであろう。その表現の方法は「術」であるかもしれないが、この要素をつかみ出す方法は「学」の方法に近いものである。
(略)
漫画の目的とするところはやはり一種の真である。必ずしも直接な狭義の美ではない。ただそれが真であることによって、そこに間接な広義の美が現われるように思う。科学の目的もただ「真」である。そして科学者にとってはそれが同時に「美」であり得る。
科学書の編集者は高野文子に挿絵を依頼するといいのではなかろうか。
- 作者: 高野文子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あと科学とは関係ないけど高野文子のこの絵本もすごく良かった。
しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん (幼児絵本シリーズ)
- 作者: 高野文子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2014/02/10
- メディア: 単行本
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