「これは単に医療従事者に問題解決能力がないってことなんじゃね?」に寄せられたはてブやトラバにお返事
ま、一応ね。
「開業医はさらに大変」って何の話?
つ 地域医療の危機:担い手たちの声/上 渡辺内科医院・渡辺立夫院長 /岩手 - 毎日jp(毎日新聞)
県医療局によると、04〜07年度の4年間で県立病院・地域診療センターの医師は定年者を除き140人が退職。うち91人が開業や民間病院への転職を理由にしている。同局は「医師不足の病院に派遣される診療応援などがある県立病院の勤務環境は過酷だ」と無床化に理解を求める
これが全国一律でおきてると主張するつもりはないけど、少なくとも近年きつい科(小児科とか産科とかかな)の勤務医を辞めて開業医になる医者は増えてると思うよ。
まあもとのエントリ(と元記事)読んでもらえればわかるけど、リソースの『偏った配分』が問題だろうな、というのがこちらの問題意識。「医者は勤務医だろうと開業医だろうと大変」というのは、「医者というリソースが不足しているからもっと増やすべき」というリソースの『総量』の問題か、「開業医だって経営が大変」という「医療費予算というリソースの絶対的な不足」のどちらかに思えるんだが如何?
市場原理主義者と呼ばれて
あのエントリで「市場原理」を導入しろと思ってるのは、「医師リソースの配分のゆがみの是正」という点であって、別に医療行為すべてを市場原理にさらせとはいってないつもりだったんだが、そうは読んでいただけなかったってことね(「混合診療いいじゃん」という意見は全面市場化につながる地雷なのかも、とあとで思った)。
では、あらためて言うと、「医師リソースの配分の歪み」を是正するために、現在開業医に厚く配分されている診療報酬を勤務医に厚く配分すべきだと思います。そうすれば、勤務医にリソースが移動するので、現在問題になっている病院の機能低下をある程度食い止めることができるのではないかと思います。で、それに反対しているのが開業医の利益を代表する日本医師会なんじゃないかという話のようだったので、暗い気分になりました。まる
混合診療に問題があるのは理解したけど、医療崩壊を食い止めるのと混合診療に反対することはどうつながるの?
⇒ニセ科学が日本の医療を食い散らす日 - 地下生活者の手遊び
丁寧に解説していただいたので、「民間保険会社によって混合診療の推進したりってことになるらしいんだが、これはいいことなんじゃないの?」ってのは単純にはいえないということは理解したわん。
ただ、混合診療に反対することと、先のエントリで問題にした「リソース配分のゆがみに起因する勤務医減少と病院の機能不全という形での医療崩壊」にどうつながるのかよくわかりませんでしたわん。
これらが、公的資源と患者の健康・生命とまっとうな医療ビジネスを食い物にしながら既得権益グループをつくり、政治に影響をおよぼし、弱者と正直者を徹底的にしぼりつくすことになるでしょうにゃ。
これってすでに現在一部の「開業医」が行っていることなのでは?と思えるんだわん。膨大なリソースが必要な高度医療はぜんぶ病院にまかせて、自分たちは見入りのいい形成外科とかでうはうはというのはどうなのよ、という話だったりは問題視しなくていいのかわん。
とりあえず現在の日本に混合診療を導入することに問題があるのはわかったけど、もしよければリソースの偏在に対する解決策をご教示いただけるとうれしいわん。
あ、情報の非対称性はたしかに問題だけど、それを解決する方法が「公権力による統制」のみとは限らないというのは経済学のもう一つの常識だと思うわん。
売り手の所持する情報量が多い場合
売り手の所持する情報量が、買い手の所持する情報量よりも多い場合に発生する逆選抜の問題を回避する方法の一つに、国や地方公共団体・消費者団体などの第三者機関の介入が挙げられる。売り手が提供している財やサービスの品質について、第三者機関が審査・検定を行い、買い手に対して財やサービスの品質を保証する方法である。
劣悪な財やサービスを提供する売り手に対して罰則を課す法や条例を制定したり、良質な財やサービスを提供する売り手に対して税制面の優遇を与える法や条例を制定したりする方法を併せて行うと、財やサービスの品質の確保はより確実になる。
ただし、財やサービスの品質維持に対するインセンティブが売り手にある場合、第三者機関が品質保証に介入する必要はない。例として、信用やブランドなどが売り手の利益に大きく影響する場合が挙げられる。買い手が何度も繰り返し来たり、大量の顧客が企業の名前を信用の基準としている場合、その企業自身に財やサービスと値段の関係を正常に維持するインセンティブがもたらされるため、売り手と買い手との間に信用が形成され、第三者機関が品質保証に介入する必要はなくなる。
(強調ryozo18)
こういった良質のインセンティブ設計をすることを目標にするのも夢があっていいと思うわん。
これは市のほうに問題があるんじゃね?
最初のPFIの失敗例としてあげられてるの見ると、なんというか市の病院運営がまずいとしかおもえないんですが。
市が医療業務を担い、SPCが保守管理や清掃、警備、病院給食などを受託している。30年後に市が施設の無償譲渡を受ける契約で、市は直接経営と比べ68億円の節約になると試算していた。
だが、「新築となって上がる」と見込んでいた病床利用率が横ばいにとどまったため、増えた減価償却費を収入で補えず、2007年度に27億円の赤字を計上。一方、SPCに委託し、市が税金から支払う保守管理や清掃などの年間費用は、旧病院時代の6億6千万円から、15億4千万円に膨らんだ。
これ、医療業務を行ってるのは「市」で、SPCのほうは「保守管理や清掃、警備、病院給食などを受託」なので、このケースを「医療の民間開放」と呼ぶのは抵抗あるし、さらに「民営化で失敗」というのはさらに抵抗ありまくり。
この話とは直接関係ない話だが、この記事で「利息の総額は」とかって出てきててすごい気持ち悪かった。現在価値で議論しないと意味ないだろー
あ、後者の井堀先生の「供給削減による需要抑制」という意見については僕も完全に反対です。お前はなにを言ってるんだAA略と思ってます。