ネット証券好調って

http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200510270017a.nwc
産経ニュース


ネット証券自体が好調なのは特に驚くような話でもないので、まあそんなもんかという程度。松井証券の経常利益水準には感心したが。
気になったのは下のほうの記事の最後のほうで触れられている野村證券のネット参入の話。

 一方、証券最大手の野村証券が新会社を設立してネット取引に参入することをめぐっては「ネット証券大手が出そろったこの段階で、新規で始めるのはタイミングが悪い」(北尾吉孝SBIホールディングスCEO)、「野村の参入は受けて立つ」(松本大MBH社長)などと反応はさまざまだ。

 松井社長も「(野村を)侮るつもりはない」と警戒感を示すが、その一方で「野村も松井やイートレと競争するつもりはないだろう。野村とのアライアンス(提携)を考えるという段階になるのではないか」と予想しており、野村証券のネット参入が、成長を続けるネット証券業界の再編につながる可能性にも言及している。


「競争するつもりはないだろう」というのはどうなんだろう。ここでいう競争は三つくらいの意味がありそう。

  1. 手数料引き下げ競争
  2. 口座獲得競争
  3. 利益競争

このうち、手数料引き下げにぶつかっていくのはあり得ないだろ。手数料引き下げはもっとも遅いタイミングでついていくという戦略とるでしょ。
問題は口座獲得のほう。野村證券のメインターゲットは「既に野村證券の支店に口座持ってるけど、ネットで取引したいな。手数料なんか気にしないよ、野村さんのブランドを信用するよ」という顧客層なんじゃまいか。これは、現在のネット専業証券会社が取り込めていない層なんじゃないのか。加えて言えば、おいしい富裕層に近い層なんじゃないかとも思える。ただ既にかなりの口座数を抱えている野村ホームトレードとの関係をどうするつもりなのかよくわからんが。
最後の利益の部分では、システムコストをいかに抑えるかが一番効きそうだから(広告費も相当かかるだろうけど、野村の認知度考えるとそんなに不利ではないと思う)、この点でのアライアンス(=システム共同利用)はあり得るかも。ただシステム共同利用程度では業界再編にまでは至らないんじゃないかと。


なんにせよ、今のタイミングで参入するということの意味をどう取るかだな、と。


とりあえずこれおいときますね。

つ『イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)