違法コピー改善で3兆弱の経済効果?

"BSA、日本の違法コピー率10%低下による経済効果が、4年間で2兆8千8百億円に達すると発表"


違法コピーを推奨するつもりはさらさらないけど、これはちょっと我田引水にすぎるだろ。




まず、市場規模の推計が気になる。まずはJEITAのソフトウエア市場規模を見てみる。

JEITA ソフトウェアおよびソリューションサービス・2004年度市場規模調査結果について


この調査では、市場を次の三つに分けており、それぞれの市場規模は2004年度で以下の通り。

  • SI開発(コンサルティング、ソリューションシステムインテグレーション)
    • 2兆4133億円(前年度比103%(参考:2002年度比107%))
  • ソフトウェア(アプリケーションパッケージ、ミドルウェア
    • 7893億円(前年度比100%(参考:2002年度比103%))
  • アウトソーシング、その他サービス(アウトソーシング、ハード/ソフトメンテナンス、その他)
    • 1兆9423億円(前年度比93%(参考:2002年度比107%))


このうちBSAが問題にしてる違法コピーは二つ目の「ソフトウエア」の部分になるだろう。SI開発やアウトソーシングで違法コピーはあんまりないだろうし。というわけで金額規模で8,000億円弱。これが少々改善されたとしてもBSAの発表数値には程遠いと思うんだが。


また、違法コピーの多くはクライアントソフトだと思うんだが(例えばMS Officeとか)、これって国産のソフトがどれくらいあるんだろう?まあ確かに一太郎とかサイボウズとかの違法コピーはあるんだろうけど、大半はアメリカのソフトなんじゃね?そこの売上が仮に伸びたとしても、多くは海外に還流しちゃうんじゃないのかなあ。


次に疑問なのが、BSAは代替品の可能性を排除してるように見えること。現在の違法コピーは(百歩譲っての話だが)、そのソフトウエアに対する投資が十分なリターンを生まないと思ってるから蔓延してるってことだろ、という見方も成り立つ。で、そこに違法コピーが出来ないような仕組みを導入したらどうなるか?


一部の層はおとなしくソフトを買うだろうけど、ある程度の層は安い代替案を探すことになるだろう。例えばそれはオープンソースかもしれないし、webサービス化の流れもこの代替案としてでてくるんジャマイカ。


もともとBSA(というか委託を受けたIDCが)どういったロジックでこの数字を出したか確かめようもないので、具体的な反論はできないんだが、なんとなく我田引水の臭いを感じる。ただし、雇用増についてはそうかもねと思う部分もある。これからはサービス需要のほうが高まるだろうし、サポートとかの人的リソースはますます必要になるだろうと思うから。