中国にとっては3年の誤差が許せないらしい


中国経済レポ−ト】"2013年、中国は日本のGDPを追い抜く"
 ⇒http://www.geocities.jp/mstcj182/ITEM-3A73.html

 2003年10月、アメリカの投資会社ゴールドマン・サックスは投資者向けのレポート『BRICsとともに夢を見る2050年への道』を発表した。このレポートによれば、2016年中国は約5兆ドルの経済規模で日本を抜き世界第2位の経済大国になると予測した。


 しかし、この予測は次の3つの要素により中国の経済規模を過小評価していることは明らかである。


この過小評価の理由として以下の三つが挙げられている。

予測のベースになるGDPに2000年時点の数字を使っている
中国様のGDPは2005年11月に大幅に修正された。修正後の同年GDPは1兆1996億ドルで修正前に比べ11%も拡大した。*参照:「中国斜め上」、「GDP成長率も上方修正
GDP成長率の予測値と実績値が乖離している
ゴールドマン・サックスのレポートは中国の2001−05年のGDP成長率を8%と予測したが、実績は9.5%に達した。06−10年の経済成長率についても、レポートは7.2%と予測したが、今年上半期実績10.9%を見る限り、向こう5年間の年平均成長率は8%を下回ることはないと思う。』
為替レートの変動を考慮していない
ゴールドマン・サックスのレポートの予測は単純に経済成長率で試算した結果であり、人民元切り上げ要素を十分に考えなかった。しかし実際、中国政府は昨年7月に人民元を2%切り上げた。今後10年、年間ベースで3%程度の元切り上げも考えられる。』


で、この三つの問題を修正した上で試算した結果が冒頭のタイトルとなる。つまりもう少し早いってことだ。


しかし、このレポートの後半を読んでいくとよくわからなくなる。



資源浪費のリスクを指摘している


『●「爆食経済」からの脱却が課題』というところで中国は資源浪費型でエネルギー効率も悪いから問題だと。しかもこの浪費型からの脱却を目指しているはずなのに、今年の上半期では逆に資源消費が大幅上昇していると。抜本的な対策を行わないと持続的な成長は望めないのではないかといっている。


で、例えばの話として『中国、環境汚染での経済的損失は7・5兆円 : 経済ニュース : 経済・マネー : YOMIURI ONLINE(読売新聞)』といった報道もある。「省エネ・高効率型経済」を目指すには、ある程度この手の分野に投資をしないといけないはずで、そして恐らくこの手の投資の収益率は低い(ビルを建てたり道路作ったりするよりも相対的に低いという意味で)。この手の投資がどの程度GDP成長率を下落させるかは定かではないが、強気なGDP成長率を仮定することには反すると思われ。



過熱経済の引き締めが必要だと言っている


現状でも金融引締め策や不動産投資抑制などの施策を打っているにも関わらず、相変わらず経済は過熱気味だとおっしゃる。しかも『今年は第11次5カ年計画スタートの年であり、07年に5年に一度の共産党大会開催、08年に北京五輪開催もあるため、経済成長率を簡単に下げられる環境ではない』とおっしゃる。


ということは2009年以降は現状よりもさらに厳しい引き締め策をとらなきゃいけないんじゃね?と思うんだが、それを加味した上での成長率の予測が『向こう5年間の年平均成長率は8%を下回ることはないと思う』となっている。



供給力過剰が問題であり、内需主導型に転換しないとだめだと言っている


で、この過剰供給は輸出へと回され、現在の元安の状況下では深刻な貿易摩擦を引き起こしかねないと。なので早いところ内需主導型経済へ移行しないと危ないし、元の切り上げは不可避だといっているんだが、人口増もある程度抑制され、さらに少子高齢化が急速に進み、そして高い貯蓄率(裏表の低い消費性向)を誇る中国様が、元高による輸出縮小をもろに受けながら、その状況下でどのように内需主導型経済へと移行されるのか興味は尽きない。


人民元の切り上げによる「元高不況」が訪れる可能性は非常に高いと思うんだが、それでも年率8%以上の成長率を維持できるとしたら、それはマクロ経済政策の夢のようなお手本になるだろうと思う。日本は失敗したしね。謙虚に学びたいものです。