「地球工学」ってそれほど荒唐無稽な話ではないと思うんだが


改めて注目浴びる奇抜なアイデア=地球温暖化防止で(時事通信) - goo ニュース


この話に出てくるような「太陽光線を遮ることによる温暖化対策」というのは十分検討する意味があると思うがな。



地球温暖化の犯人がC02であるという確実な証拠があるわけでもない


科学者の大半は地球温暖化自体の存在は認めているようだが、その原因が人間の活動(≒二酸化炭素)であると断定しているわけではないようだ。そもそも地球の気温なんて結構変動しているというデータも一杯あるし。


で、仮にCO2が犯人じゃなかった場合*1、頑張って頑張ってCO2削減に成功しても効果ありませんでした、という話になりかねない。この対策にかかった費用は恐らく莫大なものだろう。全く無駄になりかねない活動に莫大な金をつかうのはどうなのよ?という疑問は当然浮かぶ。


なら、もっと直接的に太陽光線を遮断すれば温暖化それ自体が調整できるんじゃね?という発想は出てくるだろうなと思う。

で、この手のアイデアを"Geoengeneering"とかって呼ぶらしい


「地球工学」とでも訳すのかね。ほかには"Climate Engeneering(気象工学?)"なんて言い方もあるらしい。


先の記事で出ていたロジャー・エンジェル教授の「反射板」については、詳しい紹介記事がある。


「宇宙の日よけ」は実現可能か?(宇宙と天文学) / 科学ニュースあらかると - 地球温暖化,宇宙の日よけ


それなんて『太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)』?*2

で、やっぱり『Sternレポート』の話につながるんだが


TCS Daily - Operation Sunscreen


このエントリでは『Sternレポート』の二酸化炭素削減策のことを「de-indutrialization strategy:脱・工業化戦略」と呼んでいる。『Sternレポート』では、この脱・工業化戦略を実行するには全世界のGDPの1%程度のコストがかかると言っている。で、「全世界のGDPの1%」ってどのくらいかというと、約4,000億ドル。


こんな巨額の金をいきなり「脱・工業化戦略」にかけるんじゃなくて、代替案を探すためにかけるほうがいいんじゃないかというのはそれはそれで納得できる話だと思う。たとえ地球温暖化の原因が人間活動(≒CO2排出)だとしても、解決策が「脱・工業化」だけじゃないだろというツッコミはありうる。


とはいえ、『Sternレポート』ではいきなり工業化以前の段階に戻れといっているわけではなく、ガソリンに代わる代替燃料を探せとか、エネルギー効率を高めるためのR&Dをしろとかといった技術的解決策も当然提唱しているわけで、頭ごなしに否定してかかるような代物でもないだろう。


この態度の違いは、アメリカ人対ヨーロッパ人の違いというよりは、「地球温暖化」が引き起こす悪影響がどの程度切迫しているのかという認識の違いなんじゃないかという気もする。

海面上昇による不動産価値の損失はでかいだろうな


ただ「切迫している」という意見の中で気になったのがこれ。


Action Needed on Global Warning: The Future for Investors - Yahoo! Finance


Yahoo!Financeかよ!というツッコミはさておき、この記事で最も心配しているのは地球温暖化による「海面上昇」。


「現在海面が上昇しているのは疑いの余地がない。陸と海両方からの計測によれば、海面は3〜4mm/年のペースで上昇している。この水準なら1m上昇するのに最低でも250年はかかる計算になる。しかし、海面上昇のペースは間違いなく加速しており、その速度は20世紀で二倍になっている」


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海面上昇が起きれば、まず確実に沿岸都市はアウト。洪水とかもあるが、経済的に見れば不動産としての価値が崩壊するのが痛い。ニューヨークとか東京が水没したときの不動産価値の損失なんて考えただけで気が遠くなる。


で、現在の海面上昇はまだ緩やかだが、これに氷床の崩壊が加わる事態になればけた違いの海面上昇(1万4000年前の氷床崩壊では海面が20m上昇したそうな)が起きるという点。ま、これが起きたら確実に人類オワタ\(^o^)/


どれくらい切迫してるかという点では、僕なんかは呑気なもんですが、どうなんでしょうね。




あ、それと僕が寡聞なだけかもしれないですが、日本の経済学者さん達は地球温暖化とかにあまり触れないような気がするのは気のせいですかね。日本語の面白い文献とかあればご紹介頂ければ幸いです。

*1:ただしCO2放出によって海水の酸性化が起きるという懸念は別途あるらしい。http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/sci;314/5798/452

*2:そういや明日は水星の太陽面通過らしいですね。思えばこの小説の冒頭はこの水星の太陽面通過からはじまるんだった