「社会福祉」とか「職人」とか思いつくままに

いつの時代もあった話なのか


先のエントリ(「ようは建設業は「社会福祉」的側面があったってことだと思う」)のコメントでfuku33さんからご教示いただいたエントリを読んで笑ってしまった。


現代の無為徒食者対策 - 福耳コラム


こちらは第二次世界大戦時の話が元になっているんだが、展開とか結論とかかぶりまくりw このfuku33さんのエントリをパクったと言ってもいいんじゃないかと思うくらい(このfuku33さんのエントリが書かれたのは2006年9月)。


はてブのコメ欄のやり取りも。

ryozo18 うはwここまでかぶってるとは思いませんでしたw/日本(の特定分野)は進歩してないですなあw


fuku33 ryozo18さん、おそらくいつの時代でも、「他に行き場がない人たちの産業」というのがあって、その人たちをガチンコで市場淘汰に晒さない、そのことで社会的コストを減らすのは日本的慣習としてやはりあったかと。


そういやもっと昔の江戸時代に長谷川平蔵鬼平ね)は佃島に人足寄場を作ったりもしたねえ、とか思い出したり。


結局、土木に近い産業とかっていつの時代もある程度は「社会福祉的役割」を期待されていたのかなとか思ったり。アメリカだとなんだろう?タクシードライバークリーニング屋?んー、一般的には移民系の就業状態とかに近づくのかなあ。中国だとなんだろう?中国は日本と似たようなものなのかな?


でも土木系の産業では「民間セーフティネット」が維持できないとなったら、次はどこが面倒見るんだろうか。介護系とかが候補かなとか思ったりもしたがよくわからん。それともあくまでこれは一過性で、あと数年たつとまたこの辺の産業が新しくネットを張り替えるんだろうか。


結論特になし。



「職人技」の価値について


もう一つ全く別の話として「職人技に適切な値段がついてない」という話もあった。そして「職人技」と「標準化」の相克という話も気になった。


例えばこのエントリなんかではIT業界にこの問題意識を引き寄せた上で興味深い議論をしている。


おごちゃんの雑文 » Blog Archive » 建設業界の今日は、IT業界の明日

コの業界にありがちの勘違いで、様々な規定、たとえばコーディング規約や標準工程といったものがあると、成果が平均化されてしまうというものがある。つまり、決められた事がたくさんあると、「腕」が発揮しにくくなると考えている人達がいるらしいのだ。件の文章はその逆を言っている。

その道50年の天ぷら屋の親父と同じ材料で、同じの揚げて食べてみ。どっちがうまいか、そんなのアホでも分かる。

この部分だ。同じ条件でも、いや同じ条件だからこそ、腕の違いがはっきりするというのだ。


僕の中ではこの「職人技」という話を「求められる場所」でわけて考えている。


先の引用の天ぷらの例で考えてみる。銀座とかの一流店なら最高度の「職人技」が求められる。そしてこのお店は若い職人の教育を惜しまないだろう。そして客もそういった教育代込みの値段を払って、次世代の天ぷら職人育成のコストを負担している。


一方で、冷凍食品とかコンビニ弁当を作っている工場を考えてみる。こちらは職人技とかいってないで、いかに手順に則ってミスなく作業を行うかということに焦点が移る。この工場の揚げ物担当の人は、仕入れの目利きとか微妙な油の温度の違いとかを見抜く目は要求されない。確かに一定の教育は必要だろうが、一流の職人になるような教育はするはずもないし、されたほうだって迷惑だ。


そして、この二つの話は「ニッチ」と「マス」という言葉に簡単に置き換えられるようでもある。するともとのNBOnlineの話はこうも解釈出来る。


本来「ニッチ」向けである職人を「マス」向けに大量育成してしまったため、「マス」からも割高のプレミアム料金を徴収しないと回らない産業が建設業だった。そして今まではそのプレミアム部分が「談合」などのシステムによって(不当に)回収されていたが、その仕組みがなくなったので「職人」の市場は一気に「ニッチ」にまで落ち込んでしまった。その結果ニッチのニーズをはるかに超えた「職人」の価格が暴落した。


そして注意しときたいのは、これは「職人技の否定」ではないということ。「ニッチ」では今も、そしてこれからも「高度な職人技」は要求されるのだ(宮大工とか典型だよね)。ただ需要をはるかに超えた供給をしていたことの矛盾が一気に噴出したから、こうなっちゃったんだと思う。




翻って、IT産業はどうか?といってもよくわからん。SEの人たちの「職人技」って「まったく意味不明のコメントを解読する能力」とか「顧客の理不尽な仕様変更をのらりくらりとかわしてなんとなく丸め込む」とかだったりするようなイメージがある。や、違ってたらすいません。


スーパーなプログラマとかPMとかは当然いるんだろうけど、僕には前者は「天才」、後者は「名監督」という感じがして「職人」という感じはしない。思いっきり個人の主観で申し訳ないです。サーセンww


うん。そしてこの項にも結論は特にない。




さて、メシ食ってくるか。