未来予測を嗤え! 角川oneテーマ21


最近書いてるのは書評ではなく読書ログということなので、「これ以上読むのはやめた」本についてもログとして残すことにしました。


虫のいい話ですが、もし完読した方が「そこでやめるのはもったいない。もう少し先まで読めばいいのに」という示唆を与えてくれたりしたら非常に嬉しいし、「少なくともここは読んどくといい」とか「たしかにそれ読むならこっちのほうがいい」とか聞けると嬉しいじゃないですかドン!(机を叩く)


栄えある最初の「giveup」タグに輝いたのは「未来予測を嗤え! 角川oneテーマ21」。kindleで購入。cakesで見かけてちょっと気になったので買ってみた。cakesの有料会員の方は三章くらいまで読めるのかな?


各節ごとに「ないわー」とつい声が漏れてしまうあまりに杜撰な思考。あ、これダメだ、とcakesの時点で判断できなかった自分を責めるべき。第1講の例えば以下の様な文章。

神永 「儲かる」株のポートフォリオを作るなんてことは、誰にでもできますよ。過去何十年かの株価データを集めて、そこからあまり下がらなかった銘柄を選んで、適当にブレンドすれば出来上がりです。(強調本文ママ)


ええと、意味わかります? もしこれがほんとならファンドマネージャーは必要ないですよね。もしかして過去の高パフォーマンスポートフォリオが未来永劫同様のパフォーマンスを出すと考えているのでしょうかね?


ダンコーガイの経済学勘違いも結構なものがありますが、この神永氏の勘違いはさらにひどい感じなんですよ。


同じ第1講からさらに。

神永 社会現象を予測するのは難しいことが多いでしょう。逆に、もっとはっきりわかるはずのことを多くの人は無視しがちです。
 自分の家族の年齢を考えてみてください。子どもは6歳になったら小学校に入学しますし、中学や高校にいつ行くのかも決まってきます。年功序列の会社だったら、社員の年齢からだいたい誰がどんな役職に就くか見当がつくでしょう。(強調本文ママ)


いまどきこんなこと真顔で言う社会系の学者いませんよ。「分布がだいたいわかってる」のと、「その分布の中で自分がどこにいくか」は別の話なんですが、この神永氏はここを完全に混同してるので、もうなんか先を読む気がおきないわけです。「年功序列なら年齢で役職の見当がつく」とか本気で思ってる人がいた事が驚きです。平行世界の方ですかね。


なんとか我慢して第4講までは読んでみたんですが、限界でした。この本はこのあと18講まであるようで、人工知能からビッグデータから経済発展などなど縦横無尽に語り合うようですが、まあ読む価値はなさそうかな、と。


ものすごく好意的な解釈として、文章をまとめた編集者の方が全く文脈を理解できずに間違った日本語としてまとめてしまったという可能性はあるかもしれませんが、だとすればそれは単なる「欠陥商品」ですので、やっぱり読む価値はないと判断しました。