上の補足


若干の補足をしとくと、よくある勘違いとして「そんなべらぼうな利益率は許せん!」といった反応があるんだが、これはまったくの筋違い。つかこの場合の「利益率」って言い方は正しくねえ品。本来なら「原価率」とかって言い方をしたほうがいいと思う。


企業というか事業というのは「何かを仕入れてきて、それにあれやこれやをすることで付加価値をつけて売りさばく」というのが基本。この付加価値部分が多いと「いやー、儲かってますなあ、うらやましいっすね」となるし、付加価値部分が少なかったりマイナスだったりすると「食材そのまま食ったほうがマシなまずい定食屋」みたいなことになる。


そして、付加価値が大きいビジネスを誰かがはじめたとする。もし誰にでも真似できるようなビジネスだったら、そのでかい付加価値を狙って別の誰かも同じビジネスをはじめる。そうすると販売価格は下がるので、付加価値部分も減る。当たり前の話。


それじゃあ旨みが少ないので、企業はこの付加価値を守るためにいろいろなテクニックを使う。他社には真似できない販路を持つとか、秘伝の味付けとか。つまり、なんらかのビジネス上のリソースを「独占」しようと試みるわけだ。


技術を独占しようとすれば特許を取る、デザインを独占しようとすれば商標とか実用新案とかを取る、販路を独占しようとすればフランチャイズ化してみたり、直営店持ってみたりする。人材を独占しようとすれば高給で囲い込んでみたりとか、まあいろいろがんばるわけだ。


これらの経済活動が非難される理由はない。なぜなら、これらの経済活動は「誰でも参入できる」という点が保証されているからだ。特許は使いたければ使用料を払えばいいわけだし、人材も引き抜いちゃえばいい。そうすれば付加価値を横取りすることは可能だ。


が、テレビの使っているVHFとかUHFといった電波帯は、この「参入可能性」がない。「俺ならもっといいものを安く提供できるよ!」という事業者が参入しようがないのだ。これが一つ目の問題。


さらに、他社の参入が起きないと利用料の水準が適正かどうかもわからないという問題もある。もっとやる気があって良質な番組を作れる企業が「俺にこの帯域売ってくれたら年間2,000億円くらい払ってやる」となるかもしれない。なので、電波の帯域について、その帯域が生み出すであろう付加価値に応じた値段をつけましょうというのがオークションだったりするわけだ。




テレビの電波利用料の高低を論じるよりも、参入障壁を勝手に作っているテレビ業界ってなによ、という点を問題視したほうがいいんじゃないかな?かな?