ドライバー編への若干の補足:「損失回避性」について
あと、「損失回避性」のところのくじの例でいくつかの突っ込みも頂いております。まあこれは思いっきり単純化して適当にでっち上げたので突込みを頂くのも当たり前。とりあえず、前回紹介した「行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)」に記載されている数値例をいくつか掲載しておきます。できればこの本を実際に読んでいただくのが一番なのですが(僕の引用の仕方が間違ってる可能性もあるし)、とりあえず。便宜上、表記は若干変えてます。
カーネマン、トヴェルスキー、セイラーらの実験(pp.118-121)
質問1
A:25%の確率で6000円もらえる
B:25%の確率で4000円もらえる、または25%の確率で2000円もらえる
この場合、AもBも期待値自体は「1500円」で一緒です。なのに回答は「A:18%、B:82%」とBのほうが圧倒的に人気でした。
質問1’
C:25%の確率で7000円損する
D:25%の確率で4000円損する、または25%の確率で2000円損する
この場合の期待値は「C:-1750円」、「D:-1500円」。当然Dを選ぶはずなんですが、回答は「C:70%、D:30%」となったという実験結果が報告されています。
このあとさらに「質問2、2’」「質問3、3’」と続くんですが、まあ写すのも手間なので割愛。
金融工学的に見てどうよ
ボラティリティを考えると確かに結果は変わります。まあ行動経済学は人間全般の認知のあり方を考える側面がありますので、ボラティリティまで考慮して行動する人ってあんまりいないよね、という話かも。
あ、ちなみに「行動ファイナンス」という分野もありますので、ご関心の向きは以下の本とかいいんじゃなかろうかと。すげえ冗長で読みにくいとは思いますが。つか早く「Black Swan」邦訳出せよ。
- 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/02/01
- メディア: 単行本
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繰り返しだったら結果違うだろ
はい、違います。
この「一回限り」か「繰り返しか」は若干違った側面からになりますが、次のガソリンスタンドの行動編の「囚人のジレンマ」あたりで取り上げてみたいかなと。
とまあ、いくらでもネタとして引っ張れるくらいこのガソリン騒動は経済学ヲタの妄想を刺激してやまないわけです。さて、ガソリンスタンドの行動編書かなきゃ。