ガソリンの値下げがネタの宝庫な件(その2:ガソリンスタンド行動編)


その1はこちら。あわせて補足もご参考まで
ガソリンの値下げがネタの宝庫な件(その1:ドライバー行動編) - I 慣性という名の惰性 I
ドライバー編への若干の補足




なんかいろいろと書こうと思ったんだが、結局言いたいことは以下の結論部分なので、とりあえずここだけでも書いとくかと。この結論に至った細かい話はおいおい書いていくかも。


在庫調整・買い控え・供給のボトルネック・不毛な値下げ競争などなどを解決する単純な方法


あちこちの記事とかデータとか見たり、ちまちまとモデル組んでみたりした結果、次の2つの条件を満たしさえすれば、今回のガソリン騒動をそもそも発生させなくても済んだんだなということがわかった。

  1. 3月末時点でのガソリンスタンドにある「旧税率」のガソリン在庫をゼロにする
  2. 4月1日の営業開始前にすべてのガソリンスタンドに「新税率」のガソリンを十分に供給する


こんなのできるわけないだろという声が聞こえてくるが、これは実に簡単な方法で実現可能。


「3月末時点の市中の旧税率ガソリン在庫をいったん返品したとみなし、あらたに新税率を適用するという『見なし返品方式』を適用すればいい」だけ。しかも実務上も伝票を書き換えるだけという単純な作業で済む。


この『見なし返品方式』を実施すれば、

  1. 3月末時点の「旧税率」ガソリン在庫はゼロになる
  2. タンクローリーをフル稼働させなくても、既存の在庫が「新税率」に切り替わるのですべてのガソリンスタンドに十分な量の「新税率」ガソリンが行き渡っている状態が達成できる


ただし、この『見なし返品方式』をやった場合、3月末時点のガソリン在庫分だけ「旧税率−新税率」分の税金が徴収できないことになる。でも、この「税金の取りっぱぐれのコスト」は、本来アホな政策運営をやらかした政府(究極的には国民全体)が負担すべきコストであって、現在のようにガソリンスタンドだけにこのコストを負担させているのはおかしい。


法律上可能なのかどうかといったテクニカルな問題はわからないけど、3月末時点に遡及して『見なし返品方式』を適用するような法律を作るべきなんじゃないだろうか?



短期で税金を復活させるのは最も避けるべき


蛇足だが、もし来月とかに税金を引き上げたりすると、ガソリンスタンドがかぶった赤字がもろに経営に大ダメージを与える可能性が高い。


結局ガソリンスタンドの赤字は「3月末の在庫分を値引きして売った分」に限定されるので、新税率の期間が長ければ長いほど、平均で見たガソリン1リットルあたりの赤字額は限りなく小さくなる(税金を除く原価構造とドライバーの需要が一定だと仮定すればだけど)。さらにいえば値段がさがったことでガソリンの需要が増えれば、中期的にはこの赤字を相殺するかもしれない(環境的に考えるとまた別の問題があるんだが)。


ところがまたすぐ税金を上げたりすると、この赤字分の影響がもろに出てきてしまう。規模の小さいガソリンスタンドは資金繰りも一杯一杯だろうから、この騒動でつぶれるスタンドが出てきても不思議じゃない。


「そんな非効率なスタンドは淘汰されてもしょうがないんじゃね?」という意見もあるかもしれないけど、公正な競争環境で淘汰されるスタンドが出るのは致し方ないとしても、どう見ても人災としか言いようのない政治的なアクシデントで失業者が発生するなんてのはあってはならないことだと思う。




しかも、『見なし返品方式』さえ実現すれば、この「不毛な赤字」は解消できるんだから、これを提案しない政治家は氏ね。




参考:このサイトが一番参考になった
「ガソリン税暫定税率」問題 NO2