またポール君がグレッグ君にケンカを売ったようです
仲がいいね(´ー`)
今、Mankiw先生のとこみたら、もうちょっと進んでた。
経済学の細かい話を捨象した経緯(3/3-3/4にかけて)
グレッグ君がオバマ政権の経済予測に疑問を投げかける
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ポール君がそれに「Evil(悪)」という刺激的な煽りをかます
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グレッグ君が「上等だよw ノーベル賞の賞金賭けようぜw」とマジ切れ
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グレッグ君、有力な証拠をみつけたらしい ←いまここ
以下、経済学を含めたお話
発端:CEAのGDP予測にたいしてグレッグ君が懸念を表明
⇒Greg Mankiw's Blog: Team Obama on the Unit Root Hypothesis
全部訳すのもめんどいので、要点だけ。
- CEA(大統領経済諮問委員会)が向こう数年のGDP成長率予測を発表
- その際、「過去の経験によると景気後退の後は、通常よりも高い経済成長がおきる」と述べる
- グレッグ君「僕は昔、GDPはランダムウォークをしていることを示す研究をしてて、それによるとGDPは過去のトレンドとはあまり関係ない動きをするよ」と示唆
- つまり「景気後退を穴埋めするような都合のいい景気拡大が必ず起きるとは限らないよ」と冷たく言い放った
まずCEAが提出したグラフがこれ。
これは横軸が景気後退の程度、縦軸がその後の景気拡大の規模。これを見ると、確かに景気後退と景気拡大には正の相関があるように見える。つまり「谷」が深ければ、「山」もまた高いと。CEAの計算だと「2.1%の景気後退は、その後2年で9.4%拡大する(年率では4.6%)」という推計結果になるらしい。
しかし、これにグレッグ君は意義を唱える。グレッグ君の過去の共同研究(これね。PDFファイル注意)では、GDP成長率はランダム・ウォークしてるんじゃね?という分析結果が出ているらしい。これを「単位根仮説:Unit Root Hypothesis」って呼ぶんだと。これによれば、GDPの成長率は過去のトレンドとは無関係の動きをするらしい。なので、景気後退が起きたからといって、必ずしもその後高い景気拡大が起きるとはいえないってこと。
ついでに細かい突っ込みもグレッグ君はする。このグラフには1980年の景気後退が、な・ぜ・か、含まれていない点を指摘。どうやらこのときの景気後退はすぐに別の景気後退が続いて起きたため、景気後退終了から2年間の成長率は1%を切っていたらしい。ようはCEAにとって都合の悪いサンプルを隠してないかい?と。
まあでも反論の根拠は「単位根仮説:Unit Root Hypothesis」だ。で、この「root:根」をネタにポール君が信じられない煽りをかます。
ポール君登場:その時々の状況によって景気の変動は質が違うってのを無視して何いってんだと反論
⇒Roots of evil (wonkish) - Paul Krugman Blog - NYTimes.com
いきなりタイトルが「Root of Evil」
むりやり訳すなら「単位根」ならぬ「悪意根」。
ってwwwちょwwwおまwww
このエントリの要旨は以下のとおり。
- 単位根仮説には意図的なごまかしがある、と突っ込む
- 単位根仮説は「1973年から1995年にかけての生産性上昇がスローダウンした時期のGDP成長率」と、「現在のような深刻な景気後退局面のGDP成長率」の違いを無視してる、と
- 考えても見ろ、とポール君は言う。「失業率は単位根を持たない(=ランダム・ウォークではない)じゃないか」と
- 「高い失業率はいずれ低下する。そのことは『オークンの法則』として有名じゃないか」と
- つまり、とポール君は続ける。「景気後退が起きれば、その後で高い成長がおきるんだ」と
- そしてお得意のとどめの捨て台詞。
- 「こんなにでかい遊休生産能力があるのを見逃すなんて頭おかしーんじゃn(超訳)」(How can you fail to acknowledge that there’s huge slack capacity in the economy right now?)
- さらにとどめの嫌味も
- 「で、この遊休設備が動き出したら高成長が起きるにきまってるじゃねーか(意訳)」(And yes, we can expect fast growth if and when that capacity comes back into use.)
グレッグ君マジ切れ:「上等だよwどっちが正しいかノーベル賞の賞金賭けようぜww」
ぱねぇw
「こういうとき、どういう顔したらいいかわからないの」
「怒ればいいと思うよ」
・・・
「わかったポール。そんなに予測に自信があるんなら、俺の『悪』を利用してひとつ賭けようよ(Well, Paul, if you are so confident in this forecast, would you like to place a wager on it and take advantage of my wickedness?)」
ガクガク((;゚Д゚))ブルブル
でも気持ちはわかるw とはいえ、グレッグ君は切れてもやっぱりいい人。
チームオバマは2013年までに総計15.6%の実質GDP成長を見込んでいる(この数字はチームオバマの予想を足し合わせたものだ)。で、ポールさあ、実際に経済がこの予想通りかそれ以上に拡大するかどうか賭けるつもりない?別に僕はギャンブルするの好きじゃないけどさ、これは負けてもうれしいからいいよ(どっちかといえば負けたほうがうれしいね。経済のためにはさ)
グレッグ君:「おまいらwwwこんなのみつけたwww」←いまここ
⇒Greg Mankiw's Blog: The Myth of Economic Recovery
この論文にいいことが書いてあったようだ。
成長の動態:景気回復の神話
Valerie Cerra and Sweta Chaman Saxena
富裕国、エマージング市場、途上国、過渡期にある国々などの広範なパネルデータセットを用いて、われわれは金融危機やある種の政治的危機によって引き起こされた大規模なアウトプットロスは、非常に長期にわたって残り続けるという強固な証拠を発見した。金融危機の結果はまた、非常に強固な外生性(exogeneity*1)を想定させる。
さらに、われわれは金融危機以前には成長に関する過度の楽観論が存在する強い証拠も発見した。また、南北戦争によるアウトプットへの影響とその他の危機の影響との間の違いも分析した。その仲で、南北戦争の期間中ではアウトプットに関しては一部持ち直す動きがあったが、金融危機や他の政治的な危機の期間内では、このような回復は一切起きていなかった。
仲がいいというのはいいことですね。
*1:聞いたことねえw