漢文法基礎 本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)


漢文法基礎(加地伸行)前編|新しい「古典」を読む|finalvent|cakes(ケイクス)」経由。


時代ということもあるんだろうが、本気で古典漢文を読むための知識を修得するための本でした。ここまでの知識は自分としては必要ないな、ということで「giveup」に。


ただ漢文に触れる機会はそれなりにあるのは事実(講談社学術文庫とか岩波文庫とかその界隈)。といっても僕が読む漢文は日本人が書いたものがほとんどで、細かい助字や返り点などを解読しなくてもすでに「書き下し文」になっているわけで、きちんとした知識がなくても読めてしまう。加えてたいていは現代語訳もついてるから、古典の漢文法の習得に時間を割く必要もそこまでないかと思った次第。


結局読み通すことは諦めたわけだが、この本を読み始めたときに、なにか懐かしい感じがして、あれこの感覚なんだろうなあと思ったら、どうも「土屋の古文講義―代々木ゼミ方式 (1)」とリンクしたっぽい。この土屋本は今から20年ちょっと前に大変お世話になりました。


この本にも助字(たしか「也」と「矣」だったと思うが)についての著者独自の解釈による説明があったように記憶している(2015/1/29追記:いや、使役に関する文法の説明だったかも)。「おお、予備校って実はすごいなー」と思ったものだ。当時は駿台山本義隆先生の物理学講義に憧れを持っていたりもしたからねえ(遠い目)。文系だったし地方だったのであくまで憧れに過ぎなかったが。


当時はサテライト講義(衛星中継)の黎明期だったけど、駿台予備校はやってたのかな? まあ地元に駿台予備校なかったから関係ないが。あ、河合塾の「青木の世界史講義実況中継」はサテライト見たことあるよ!本も持ってた! あと代ゼミの「田村の現代文」とかな。小林秀雄の「人形」を読み解く際に「おそらく作者は一部を創作している(嘘を書いている)」とか書いてて、「そこまで行間(?)読まないといけないものか?」と思ったり。


自分は団塊Jr.に当たる世代だから、受験産業の最盛期でもあったわけで、当時は画期的な参考書が続々出た時期だと思う。それまでの「チャート式」や「英文解釈教室」みたいないわゆる「古典参考書」一辺倒だった無風マーケットに、新たなコンセプトの参考書、問題集が続々と投入されていた。その供給元は予備校であり、人気講師だった。


おそらくこの「漢文法基礎 本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)」も、出版当時(1977年が初版らしい)は、その時代のニューウェーブ参考書の魁だったのだろう。1970年台後半といえば大学進学率が上昇し始めたタイミングだろうか。この時代もまた受験産業が輝いていた時期なのかもしれない。


漢文法基礎  本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)

漢文法基礎 本当にわかる漢文入門 (講談社学術文庫)